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[nuclear]少しずつ長ーく放射線をあびるとどうなるのか、かんがえてみた [Human]


(注)タイトルの「長ーく」は数年後のことを意味しています。


「ただちに健康に影響のあるレベルではない」という政府発表に対して、いろいろなご意見がありますね。
個人的にはこう解釈しています。
「1ヶ月やそこらで健康被害はでない。今の段階で脱毛、(激しい)白血球減少や血小板減少などは起こらない。」(原発近辺の一部地域を除く)
ほとんどのかたはこう思っていらっしゃるのでは?と想像しています。
【参考】「放射線障害」gooヘルスケア

問題はここからですよね。
現在の少ない放射線を長く何年も浴びるとどうなるのか?

ある人は「全く問題ない」と発言し、ある人は「注意すべき」と発言されています。
どうなのでしょう?

調べた限りの専門家のご意見(またはその報道)を下記に並べてみました。
これらを読むと、結局”コップの水理論”で「防げるものは極力防ぐ」のが一番妥当なのかな?と感じました。 





この記事を書いてから約3年。
思うところがあり、一部に取り消し線を施しました。 2014.01.20

理由;
1. 引用元の著者が最近、科学的な事実に基づかない陰謀論めいた主張を展開しているため
2. 先導的な主張をする裏で、放射能に関するビジネスの展開をしている疑いがあり、事実関係の検証が不十分なため








以下、赤字はブログ主の編集

☆ 低放射線も高いがん死亡率 非被爆者と比較調査
 広島で被爆した人のうち、浴びた放射線が少量で健康に影響が少ないとされた人でも、被爆していない人よりがんで死亡する率が高いことが、名古屋大情報連携基盤センターの宮尾克教授(公衆衛生学)らの研究グループの4日までの疫学調査で分かった。
 研究結果は、9月15日発行の日本衛生学会の英文雑誌で発表する。
 同グループは、放射線影響研究所(放影研)が調査している広島での被爆者約5万8000人のデータを、1971年当時の広島、岡山両県の住民で原爆投下時に0-34歳だった非被爆者計約194万人と同じ年齢構成などになるよう補正した。
 その上で、被爆者を被ばく線量によって極低線量(0・005シーベルト未満)、低線量(0・005-0・1シーベルト未満)、高線量(0・1シーベルト以上)に区分。それぞれの各種がん死亡率を非被爆者のものと比較した結果、極低、低線量の被爆者は非被爆者よりも固形がん(白血病など造血器系を除くがん)で1・2-1・3倍高く、肝がんでは1・7-2・7倍、子宮がんは1・8-2倍高かった。
2008/08/04 23:32 【共同通信】





☆ 線量限度の被ばくで発がん 国際調査で結論
 【ワシントン30日共同】放射線被ばくは低線量でも発がんリスクがあり、職業上の被ばく線量限度である5年間で100ミリシーベルトの被ばくでも約1%の人が放射線に起因するがんになるとの報告書を、米科学アカデミーが世界の最新データを基に30日までにまとめた。報告書は「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘。国際がん研究機関などが日本を含む15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、線量限度以内の低線量被ばくで、がん死の危険が高まることが判明した。  低線量被ばくの人体への影響をめぐっては「一定量までなら害はない」との主張や「ごく低線量の被ばくは免疫を強め、健康のためになる」との説もあった。報告書はこれらの説を否定、低線量でも発がんリスクはあると結論づけた。
2005/06/30 12:03 【共同通信】





☆ 「低線量被ばくの人体への影響について」:近藤誠・慶応大 2011年4月5日 -----------------引用開始---------- 「これ*によると、被ばく量が50ミリシーベルト以下でも発がん率は上昇しています。」 -----------------引用終了---------- これ*: Cardis E, Vrijheid M. Blettner M., et al. "Risk of cancer after low doses of ionising radiation: retrospective cohort study in 15 countries." BMJ (2005) 9;331(7508): 77【PubMed】 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15987704 <2011/6/13追記> ↑この論文について解説しているブログがありました。 「低線量被ばくと発がんとの関連性, ②」 http://ameblo.jp/md-traveler/entry-10850708615.html#main




☆ 近藤誠・慶大医学部講師が緊急寄稿「100ミリシーベルト以下の被曝量なら安心」はウソっぱち!2011年4月7日 掲載 -----------------引用開始---------- 専門家なら「低線量被曝でも発がんの可能性あり」と明言すべき  福島第1原発事故に関し、マスコミに登場する放射線専門家は安全を強調するが、本当なのか?日刊ゲンダイ本紙で「やっぱり、がんと闘うな!」を連載中の慶応大学医学部講師(放射線治療科)の近藤誠氏は、「ウソやごまかしが多すぎる」と断じる。 ● 数百万人が低線量被曝すれば、数万人ががん死するかもしれない  私はどんな患者さんにも、がん告知をします。患者さんは事実を知ったうえで、その後の行動を選択する自由があるからです。  人心を安定させるため、政治家は時に事実を隠すことがあるのでしょうが、それは医師や科学者の“仕事”ではありません。  そんな私が“これはひどい”と思うのは「1年間の被曝(ひばく)量100ミリシーベルト(mSv)以下なら安全」という放射線専門家たちの発言です。  これはまったくのウソっぱちです。  たとえ原子力推進派であっても専門家ならせめて「100mSv以上の被曝と発がんは明確な相関関係にあるが、100mSv以下の低線量被曝のデータは少なく、いまのところ発がんリスクはゼロでなく、正確に分からない」と言うべきです。  放射線による健康被害は、被曝後数週間以内に症状が表れる「急性障害」と、数カ月あるいは数十年先に表れる「晩発性障害」があります。  低線量被曝による健康被害は、「晩発性障害」を引き起こしやすく、短期の追跡調査では表れにくい。しかも、線量計で被曝線量を測定する人はまずいないので、データはほとんどありません。  だからといって安全というのはウソです。  そもそも100mSv以下の低線量被曝による発がんリスクには、2つの有力な仮説があります。  すなわち、(1)被曝線量が100mSv以下だと発がんリスクはほとんどないが、それを超えると急上昇する「しきい値仮説」、(2)100mSv以下でも被曝線量と発がんリスクが増大する「直線仮説」です。  (1)は放射線の毒性を軽く見せたい原発やがんCT検診の推進派が、(2)はその反対派や中間派がそれぞれ支持してきました。  ところが、いまは国際的に権威のある、米国科学アカデミーの委員会(BEIR)や国際放射線防護委員会(ICRP)らが支持するなど、「直線仮説」が有力です。  米国は1950年から広島や長崎の被爆者9万人(近距離被爆者5万人、遠距離被爆者4万人)と非被爆者3万人を対象に寿命調査をしていますが、1980年代に入り、低線量被曝であってもがんになる確率が高くなることが分かったからです。  しかも05年に英国の有力医学雑誌に掲載された15カ国の原発労働者40万人を追跡調査したリポートでは、50mSv以下の被曝線量であっても発がんリスクが高まると報告されたのです。  それでも「しきい値仮説」を支持する人は、「人間には放射線被曝による傷を治す能力がある」「低被曝は細胞を刺激し、かえって健康になる」などと主張しますが、それを信じる専門家は少数です。  放射線の専門家は当然、こうした事実を知っています。「低線量被曝でも発がんの危険性はある」と明言すべきなのです。  なかには低線量被曝の危険を認めながらも、「100人の死者のうち被曝によるがん死が1人増える程度」と、被害を軽く見せようと発言する放射線の専門家がいます。しかし、低線量の被曝者が数百万人に上ると、数万人ががん死するかもしれないのです。  いまこそ、放射線の専門家は低線量被曝のリスクを明らかにし、しっかりした対策を講じるべきではないでしょうか? -----------------引用終了----------





☆ [PDF]「チェルノブイリ原発周辺30km圏避難住民の被曝量の再検討」 今中哲二 <第8回環境放射能研究会(2007年3月)proceedings原稿>
-----------------引用開始----------
チェルノブイリ・フォーラムなど最近の公的報告においてチェルノブイリ原発周辺 30km 圏避難住民の外部被曝量とされている値(平均 20~30mSv)に過小評価の可能性があると示す
-----------------引用終了----------





☆ Chernobyl: A Million Casualties「チェルノブイリ100万人の犠牲者」ジャネット・シェルマン博士 (日本語字幕付き動画) 上の動画がうまく表示されない場合は、下記のリンクをご利用ください。 Chernobyl: A Million Casualties -----------------字幕より引用開始---------- 0:45-0:50 今日は ちょうど出版された大事な本 0:50-0:55 「チェルノブイリ~大惨事の環境と人々へのその後の影響」 0:55-0:58 について取り上げていきます 0:58-1:02 この本は公開された医学的データに基づき 1:02-1:06 事件の起きた1986年から2004年までに 1:06-1:13 98万5千人が亡くなったとしています 1:13-1:17 死者数はさらに増え続けています 1:17-1:20 スタジオにはジャネット・シェルマン博士をお迎えしています 1:20-1:23 ジャネット博士はこの本の寄稿者でもあります 1:23-1:35 共著はベラルーシのヤブロコフ博士ほか2名 13:24-13:28 私が知る限りで チェルノブイリの最悪の影響は 13:28-13:31 ベラルーシの子どものうち 健康と言えるのは 13:31-13:34 わずか2割だということです 13:34-13:37 つまりベラルーシの子どもたちの8割が 13:37-13:42 チェルノブイリ以前のデータと比べると 13:42-13:46 健康でない状態だということです 15:59-16:03 冒頭で「100万人の犠牲者」という言葉をつかいました 16:03-16:09 やはりチェルノブイリの犠牲者としてはその数になりますか 16:09-16:14 そう思います やがてその莫大な規模が知れるでしょう -----------------引用終了---------- *出版された本と思われるPDF(349ページ)がありました。(真偽不明) [PDF]Yablokov Chernobyl book.pdf www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf Fig11.jpg The New York Academy of Sciencesでの紹介 http://www.nyas.org/publications/annals/Detail.aspx?cid=f3f3bd16-51ba-4d7b-a086-753f44b3bfc1 登録していないと読めないようです。 <2011/05/06追記> 「チェルノブイリ被害実態レポート 翻訳プロジェクト」というサイトが立ち上がり「Yablokov Chernobyl book.pdf」日本語版の作成をされるそうです。 http://chernobyl25.blogspot.com/ <2011/6/19追記> この本の「13. Decorporation of Cherrnobyl Radionucleides」はこちら↓で日本語訳されていました。 「チェルノブイリ地区の放射性物質からの開放」 http://satvik.jp/herbs/Chernobly.pdf ペクチン添加食品の服用による放射性核種除去の試験について書かれています。

しかしながらこの論文を読んで、この本への信頼性が大きく揺らいだのもまた事実です。(ブログ主感想)






☆ 「政府発表を鵜呑みにせず自分の身は自分で守れ」
チェルノブイリ事故処理班の生存者が語る
凄惨な過去と放射能汚染への正しい危機感
ダイヤモンドオンライン特別レポート 第163回】 2011年4月20日
ナタリア・マンズロヴァ(Natalia Manzurova)
生物が放射線から受ける影響を研究する放射線生物学者。チェルノブイリ事故の後、5年間にわたり汚染地域の放射線量の測定し、汚染物質を地面に埋めるなどの事故処理作業を指揮した。この仕事に従事した他の科学者13人全員は癌(がん)などで亡くなり、自身も2度の甲状腺がんを患った。1997年に放射能汚染の被害者の権利擁護活動を行うNPO「チェルノブイリ・ユニオン」を設立。放射線生態学に関する記事を多く執筆し、国際的な環境・人権擁護団体などと共に被爆者支援活動を続けている。

-----------------引用開始----------
――チェルノブイリ事故の死者は4千人と報じられているが、実際には100万人が死亡しているとの報告書も出ている。どちらが正しいのか。

 真実は誰にもわからない。しかし、どちらが真実に近いかと問われれば100万人の方だろう。当時、ロシア、ウクライナ、ベララーシ各共和国では医療制度はモスクワ政府の管理下にあった。多くの医師は、患者が放射能汚染が原因と思われる癌などで亡くなったにもかかわらず、死亡診断書にそれを書かなかったことがわかっている。
(略)
たとえば、一定量の毒物を入れたコップの水を一気に飲めばすぐに死ぬかもしれないが、それを毎日少しずつ飲めばしばらくは元気でいられるかもしれない。しかし、それでも毒は少しずつ体に蓄積され、いずれ命の危険にさらされるだろう。健康被害が早く出るか遅く出るかの問題である。
-----------------引用終了----------





☆ [PDF]「被ばく線量と影響の現れ方」 放射線科学センター(つくば市)

一般の方へ>暮らしの中の放射線(目次)被爆線量と影響の現れ方(P.55)
-----------------引用開始----------
遺伝的影響や、身体的影響のうち白血病や固形ガンなどの症状は、被ばく線量が増加するほど発生確率も単調に高くなり、発病した場合の重篤度は被ばく線量の大小には関係しないという特徴があります。 一方、放射線被ばくの量があるしきい値を超えると発生する症状があり、これを確定的影響といいます。急性効果と、晩発効果のうち白内障などがその例で、しきい線量を超えて被ばくすると、被ばく線量が大きくなるに つれて症状は重くなり、発病の確率高くなっていきます。
(略)
しかし、 ガンや遺伝的影響は非常に低い被ばく線量からその障害がおきる可能性がある*1わけですから、できるかぎり無用な被ばくを避けることは大切なこ とです。

*1 広島・長崎の原爆被爆者に対する調査では、約200mSv以下では、がんの発生確率の増加が認められませんでした。しかし、この結果から「発がんにもしきい線量があるので、そ れ以下の少ない被ばく量ではがんや遺伝的影響は増加しない」とはっきり結論づけることは できませんでした。それで、放射線防護においては、より安全に考えようという立場に立ち、 がんや白血病、遺伝的影響にはしきい線量がなく、少ない被ばく量でもその線量の増加と共に影響の発生確率が増加すると仮定されることになりました。
-----------------引用終了----------

注)(ブログ主の解釈)グラフ左が確率的影響(少しを長く浴びたときの長期的影響)、右が確定的影響(いきなりたくさん浴びたときの短期的影響)。
少しを長く浴びたときは、「ここまでなら影響無い」という値が存在しない。





☆ [PDF]「Health Effects of Chernobyl 25 years after the reactor catastrophe」
IPPNW(International Physicians for the Prevention of Nuclear War、核戦争防止国際医師会議)

「核戦争防止国際医師会議」ウィキペディア


P.7
-----------------引用開始----------
Disease/health damage is to be expected as a result of additional exposure to radiation because of Chernobyl
a. Cancer. Nevertheless, it should be noted that the latency period for many types of cancer is 25 – 30 years. At present we are only just seeing cases of thyroid cancers, breast cancers and brain tumours In the population. But liquidators have also developed cancer in numerous other organs: the prostate gland, stomach, cancer of the blood, thyroid cancer
b. Genetic changes: malformations, stillbirths, the lack of children
c. Non-cancerous diseases. Many organ systems could be affected; brain disorders; accelerated aging process; psychological disorders
-----------------引用終了----------

<日本語訳が記載されているサイト>
「IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違」Sunday, April 17, 2011
Peace Philosophy Centre(ピース・フィロソフィー・センター)
-----------------引用開始----------
チェルノブイリによる追加被ばくの結果として予想される病気、健康被害として

a.ガン。ただし、多くのガンは25-30年の潜伏期があることを注記しなければいけない。今のところ、甲状腺ガン、乳ガン、脳腫瘍しか見られていない。しかし除染作業労働者たちは他のさまざまな臓器にもガンを発生させている:前立腺ガン、胃がん、血液のガン、甲状腺ガン。

b.先天性異常:奇形、死産、子どもの数の減少。

c.癌性でない病気。多くの臓器が影響を受ける:脳障害、老化の加速、心理的障害。
-----------------引用終了----------








<2011/05/08追記>
国連科学委員会では10mSvから健康に影響あるとしています。
☆ FAQ「What are the effects of exposure to radiation?」
http://www.unscear.org/unscear/en/faq.html#Effects%20of%20radiation%20exposure

United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation (UNSCEAR,国連科学委員会)
http://www.unscear.org/unscear/en/index.html

-----------------引用開始----------
At lower doses of radiation, below the levels associated with early onset of injury and death due to cell-killing, an exposed population may show an increased incidence of certain types of cancer, years to decades later, compared with populations that were not exposed.
-----------------引用終了----------
(ブログ主訳:細胞死滅による急性障害の出る線量以下の低線量の放射線では数十年後、被ばくしてない人に比べて被ばくした人はある種の癌が増加するかもしれない。)

10mSv未満      健康への影響について明らかなエビデンスはない
10 - 1,000mSv    早期影響無し;高めの線量での被ばくは、ある種の癌の発がん率を増加する
1,000 - 10,000mSv  放射線障害(死亡のリスクあり);ある種の癌の発がん率を増加する
10,000mSv以上    致死的





<2011/05/24追記>
☆ 「放射能と妊婦・乳児・幼児」その危険性について 母乳からも放射性物質」 2011/5/18 現代ビジネス


-----------------引用開始----------
広島、長崎の例にならえば、たとえば、被曝線量に比例して小頭症の割合が高くなったり、学力が低下するといったこともわかっている。また、エックス線を使うCT検査が行われた年齢が低くなればなるほど、生涯がん死リスクが高くなるという論文も発表されている。さらに、胎児へのがんリスクについて、「小児がんオックスフォード調査」、国連科学委員会などの報告では、10~20ミリシーベルトという低線量でも白血病や固形がんのリスクが増えるとされているのだ。

「'86年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ事故による放射性物質が検出されたことを初めて報道したのは隣国のスウェーデンでした。

 この国では全土の放射能汚染を調べて汚染地図を作っていて、国民総背番号制によって国民一人ひとりの所在や転居履歴などもすべてトレースできるようになっています。その国が、汚染地域別にがんの発生率を調べたところ、高汚染地ほどそれが高くなるという結果が出たのです。また、最近発表された論文には56万人の児童を調べ、事故時に妊娠8~25週齢であった児童にはIQおよび学力の低下が見られ、その程度は放射性物質の汚染度と関連するという結果も公表されているのです」(崎山氏)

 脳を含む神経系の発達は人間特有のものだ。胎児の脳は妊婦の体内にいる間に、さまざまな部分が発達する。それは、胎児期間中、ずっと続いている。

チェルノブイリ原発から西へ約70km離れたウクライナ・ナロジチ地区---。この地域への支援を長年行ってきたNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」理事の河田昌東氏が言う。

「ナロジチ地区中央病院から提供してもらった、子どもたちの健康状態に関する実数データがあります。これを見ると、大人と子どもでは病気の発症率に数十倍から100倍近い差があるのです」

 よく指摘されるように、チェルノブイリ事故後、周辺地域で幼児の甲状腺がんが急増したのは、母親の母乳を通じて放射性ヨウ素が子どもの甲状腺に集まった結果だった。事故の汚染地では、通常の小児甲状腺がんの数十倍以上の発生率を示したケースもあった。

 だが、河田氏は「本当に恐ろしいのは甲状腺がんだけではない」と言う。

「甲状腺がんは事故から10年後が発生のピークでしたが、それ以降は減っています。そのかわり、それ以外のがんを含む全体のがん発生率は事故後から10倍以上に増えているのです。ナロジチ地区中央病院における児童1000人あたりの人口罹病率では、'08年で新生物(がん)は12・3人。じつに100人に一人以上の子どもが何らかのがんに罹っている計算になります」

 がん以外の多くの疾患でも、この20年あまりで子どもたちの罹病率は驚くほど増加している。

呼吸器系疾患は'88年に1000人あたり116人だった罹病率が、'08年には603・6人になっています。これには風邪も含まれているので数が非常に増えていますが、放射線被曝によって免疫力が低下したことが原因です。

 心臓血管系疾患は、およそ2倍に増えている。この多くは放射性セシウムの内部被曝による影響です。最近の研究で、セシウムは体内に入ると心臓にもっとも濃縮されることがわかっています。心臓は鼓動することによってエネルギーを消費するわけですが、その細胞の中にはエネルギーを生み出すミトコンドリアという細胞内構造物がたくさんあります。セシウムはこのミトコンドリアの機能を破壊することがわかっている。その結果、子どもだけでなく大人にも心臓血管系の病気が増えているのです」

このデータで驚くのは、児童1000人あたりの総罹病率が'08年で1904・2人を示していること。つまり、ほとんどの子が複数の病気を持っているのだ。実際に河田氏がナロジチの学校を訪れると、「うちには健康な子供は一人もいません」と言われたという。

 ナロジチ地区のあるジトーミル州立小児病院の'02年の調査によれば、同州の乳児死亡率は州平均で人口1000人あたり10・1人。これに対し、汚染地区のナロジチ地区は33・3人。州平均の3倍に達していた。ちなみに'01年の日本の乳児死亡率は3・1人である。
-----------------引用終了----------




<2011/05/30追記>
☆ (PMCID: PMC2944154)「Cancer in children residing near nuclear power plants: an open question」Giovanni Ghirga

-----------------引用開始----------
recent well conducted state-of-the-art case-control study of childhood cancers in the areas around German NPPs (KiKK study) showed a statistically significant cancers (2.2-fold increase in leukemia and a 1.6-fold increase in solid tumor) among children under five years of age living in the inner 5 km circle around NPPs when compared to residence outside this area. These findings have been confirmed by two meta-analyses. Nevertheless, other UK, France, Spain and Finland studies did not find cancer incidence and/or death increase near NPPs.
-----------------引用終了----------
(ブログ主要約)ドイツの原子炉施設から5km以内の5歳未満の子どもは、他のエリアに比べて、白血病で2.2倍、固形がんで1.6倍の統計上有意な増加がみられた。これらは2つのメタアナリシスによって立証されたが、UK、フランス、スペインおよびフィンランドの研究では、原子炉施設近隣の発がん率(および/または)がん死の増加は認められていない。

<2011/06/10追記>
*この論文について「ドイツ政府によって実施された『KiKK研究』」として言及している方(原発に危機感を持ち始めた市民より)のコメントが以下のブログ記事にありました。
玄海原子力周辺で白血病が多い こんにちは浦田関夫です
http://blog.goo.ne.jp/kmjcp/e/93b088957884693635f5faf568a9d0ed

<2011/06/24追記>
*KiKK研究を検証されている方もいらっしゃいました。
2011-06-08 ECRRの言う、原発近傍での『放射線による癌リスク』は、過激な誇張
http://d.hatena.ne.jp/buvery/20110608





【関連記事】
[nuclear]放射能の影響は癌だけ? 2011-05-02

チェルノブイリ事故で被災した子供たちに起こったこと 2011-04-03
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コメント 4

keykun

こんばんは。^^
政府見解の「直ちに影響の~」は~
「直ちに安全と言えるレベルではなく、厳に警戒が必要」
と読むべきです。^^;;
一部で云われるところの、大本営発表レベルのすり替えが有り
自己責任に終始すると言うことに尽きると思います。^^;
by keykun (2011-04-21 23:03) 

ふじくろ

>>keykunさん
そうですか、政府にとっては厳しいご意見ですね。
現在の様々な基準値が甘すぎるという説がありますし、おしゃる通り個々の自己責任が問われているのだと、ふじくろも思います。

将来どんな健康被害が起きようとも、身を挺して戦わなければならないのが患者ですから。(^^)
by ふじくろ (2011-04-23 02:18) 

黒崎 洋子

 「今・現在」 の積み重ねが 「未来」 ですよね
 いまでも環境に悪影響を与え続けている原発、そして福島の原発事故で 日本の国土や海を、海に至っては海外までも広大に汚染させてしまった原発、 平和をスローガンに挙げている日本としては、 原発を一刻も早く終息  させて 自然環境や人に優しい生き方が出来るように、 何よりも大切な「命」を守るべきだと思います。
  これ以上人類が住めなくなってしまう 環境破壊は直ちにやめる他に道は無いと思います。
by 黒崎 洋子 (2013-11-17 18:04) 

ふじくろ

>>黒崎 洋子さん
ご訪問ありがとうございました。具体的な影響はまだまだこれから検証することがたくさんあるとは思いますが、おっしゃる通り原発の終息が必要と思います。
by ふじくろ (2014-01-20 17:00) 

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