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[nuclear]乳がんと放射能の奇妙な一致 [Human]


*以下、ブログ主の独り言です。


以前から医療被ばくが、がんのリスクを高めることは知っていたので、CT,X線検査はなるべく回数を増やさないようにしてきました。

震災後、放射能についていろいろ調べるうちに、低線量放射線が"がん"のリスクを高めることを知りました。

そして今回、乳がんと放射能はどんな関係があるのかちょっぴり真剣に調べてみました。

[乳がんのリスクファクター]
一般的に「女性ホルモンに暴露された期間が長い」や「閉経後で肥満の人」や「BRCA1とBRCA2遺伝子に変異がある」と言われています。(*1)(*2)


たとえば初潮が早かった場合や閉経が遅かった場合などです。
注.遺伝子の変異については専門機関で検査を受けなければ判りません。
注.リスクファクターに当てはまる人すべてが乳がんを発症するわけではありません。逆に、当てはまらない人が全員乳がんにならないわけでもありません。

今までは、乳がんリスク因子に放射能があるとは思ってもみませんでした。
そんなこと、どこにも書いてませんしね。

ところが震災以降、深い関係があるのではないかと疑うようになりました。

ゴメリ州・ベラルーシ共和国では
「185,000Bq/㎡以上のエリアの乳がん罹患率は、それ以下に比べ有意に高い。」という調査結果があります。(*3)

(見やすくするために数字と矢印を赤字で書き込みました)

核戦争防止国際医師会議でもチェルノブイリ事故での乳がんの増加が報告されています。(*4)


他にも少し調べただけで、たくさん出てきました。
以下は、その一部です。

☆「肺がん、皮膚がん、甲状腺がん、多発性骨髄腫、乳がん、胃がんは電離放射線(ガンマ線、X線など)の被ばくによって発がんリスクが高まる
Radiation Exposure and Cancer
http://www.cancer.org/cancer/cancercauses/othercarcinogens/medicaltreatments/radiation-exposure-and-cancer

「電離放射線は乳がんを引き起こすか?」Yes.
Ionizing Radiation and Breast Cancer Risk コーネル大学
http://envirocancer.cornell.edu/factsheet/physical/fs52.radiation.cfm
*マンモグラフィ、原子力施設近隣の女性、(殺菌のための)放射線処理された食物などと乳がんとの関係も詳しく書かれています。

☆「以前のがんの放射線治療や、結核・肺炎の診断のための胸部X線検査をした女性は、乳がんのリスクが高まる。
Medical radiation exposure and breast cancer risk: findings from the Breast Cancer Family Registry.
PubMed Int J Cancer. 2007 Jul 15;121(2):386-94.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17372900

☆「毎年のマンモグラフィによる放射線被ばくは、若年ハイリスク女性の乳がんリスクを高める。
Radiation Exposure From Annual Mammography Increases Breast Cancer Risk in Young High-Risk Women
http://www.medscape.com/viewarticle/713242
Med scape Today news

☆「原子炉事故とがん」
(特に乳がんについてではありませんが、参考のため掲載)
Accidents at Nuclear Power Plants and Cancer Risk
Reviewed: 04/19/2011
http://www.cancer.gov/cancertopics/factsheet/Risk/nuclear-power-accidents
National Cancer Institute


やはり乳がんと放射能は関係ありそうな気がしてきます。





それから、放射性物質とそれが体内に蓄積される組織・臓器を知ったとき、驚愕しました。
乳がんの再発部位とかぶっています。
具体的には骨、肝臓、肺です。


[奇妙な一致]
放射性核種と代謝や吸入で集まりやすい組織・臓器を調べてみました。(*5)
核種集まりやすい組織・臓器
ヨウ素(I)甲状腺
プルトニウム(Pu)骨、肝臓、肺
ストロンチウム(Sr)
セシウム(Cs)特定の親和性臓器なし、全身に均一に分布


乳がんの再発部位(*6)29.1%、19.2%、局所リンパ節15.2%、局所皮膚12.1%、肝臓8.2%、胸膜5.7%、遠隔リンパ節4.5%、脳2.6%


偶然でしょうか?
とてもそう思えませんけど..
なぜ放射性物質の集まりやすいところと、乳がんの再発部位がかぶるのでしょう?

胸膜や局所リンパ節などの原発巣に近いところは、再発というのも頷けるのです。
なのでそれらは別にしまして、
乳がんが遠くに飛んだ場合(遠隔転移)、膵臓や直腸などは殆ど聞いたことがありません。
だいたいいつも骨、肺、肝臓ですよね。
脳への転移もよく聞きますが、いきなりではなくどこかの転移が見つかった後がほとんどと聞きます。

なぜそんな特異性があるのでしょうか?
とても不思議です。




それからもう一つ。
がん細胞と放射性物質の挙動が似ていることです。
詳しいことは解明されていないという前提ではありますが..

[がんと放射性物質の挙動]
リンパ行性転移や血行性転移などと言われ、がん細胞がリンパ液や血液に乗って体中を駆け巡り、原発巣から離れた臓器にとどまって転移するという説があります。(*7)(*8)

かたや、放射性物質の体内での挙動も、このがん細胞の挙動と同じようなことが言われているのです。(*9)(*10)(*11)

両方とも血液やリンパ液に乗って、体中を駆け巡るのですよね。




いかがでしょう?
がんも放射能もまだまだ判らないことがたくさんあると思いますが、
果たして両者はどんな関係にあるのでしょうか?
とても興味深いです。


<2011/6/10追記>
「米国の原子力プラント半径100マイル以内の乳がん死亡者(10万人あたり22人)は、乳がん死亡者の2/3以上を占める」というJay M Gould氏の報告もあります。(*12)

これは1つの研究結果ですが、これだけをもって乳がんと放射能の関係を語ることはできません。
信憑性があるのかないのか不明です。

一般的にNEJMやLANSET(ランセット)などの医療ジャーナルに掲載されると「信頼度が高い」とされますが、この論文はどんな評価を受けているのかが気になります。
「誰かがどこかで発表した」だけでは信頼性が高いとは言えませんので。




また日本では近年、乳がん罹患率が高まっていると言われています。(*13)


地域によっても差があるようです。(*14)

この統計によれば、2006年新たに乳がんと診断された人は、全国で49,772人(10万人あたり76.1人)います。


<2011/06/23追記>
一般的には下のグラフが示すように、近年日本の乳がんが急増している原因として、
「食習慣の欧米化」などがよく言われています。
理由は「栄養状態が良くなった→初潮が早く、閉経が遅くなった→女性ホルモンに暴露される期間が延びた→乳がんが増えた」とされています。

乳がんの罹患率推移(*15)


乳がんの死亡率推移(*15)


5カ国比較 乳がん死亡率(*16)





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(注)ブログ主は、近年の乳がんの増加が放射能に関係あるかもしれないし、ないかもしれないと思います。
まさか「放射能(だけ)が原因だ」などとは全く思っていません
原発反対運動家の中には「放射性物質が乳腺に集まりやすく乳がんになる」などと根拠のないことを吹聴して回っている人もいます。
原発には反対ですが、こういった無責任な言動には憤りを感じます。


ちょっと追求してみた。

ブログなどの読書感想によれば、肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威』ではこういう内容が記述されているらしい。
「日本の都道府県別の経年の乳ガンの死亡率が12人(10万人あたり)を超えているのは、青森・岩手・秋田・山形・茨城・新潟の6県だけ。次図は、乳ガン死亡率の経年変化。」



上のグラフでは1994年〜1998年頃に死亡率が大きく上昇している。
乳がんでは通常考えにくい。

下の岩手県のグラフ(*17)と比べて欲しい。



まったく違う。
なぜなのだろう?

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(*1)乳癌のリスクファクター Breast Cancer.JP
http://www.breastcancer.jp/counsel/faq_risk.asp
(*2)乳がんのリスク因子 乳がん百科
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/breast/worry/post_7.html
(*3)[nuclear]土壌が放射能で汚染しているとがんは増えるの?
http://makeadifference.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
(*4)[nuclear]少しずつ長ーく放射線をあびるとどうなるのか、かんがえてみた
http://makeadifference.blog.so-net.ne.jp/2011-04-21
(*5)≪内部汚染で問題となる核種とその特徴≫緊急被ばく医療ポケットブック
http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/2_2_5.html
プルトニウムの毒性と取扱い (09-03-01-05)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-03-01-05
(*6)「乳がんの再発パターン(時期と部位)について教えてください」
http://nyugan.info/tt/qa/q6_09.html
(*7)「がんの転移はここまで解明されている
がん転移のメカニズムとは、打開策はあるのか」(2007年11月号)がんサポート情報センター
http://www.gsic.jp/cancer/cc_26/mch/02.html
(*8)「1.がんの血行性転移とは」愛知県がんセンター
http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/200/240/240-16/mokuji-01.html
(*9)「体内に取り込まれた放射性物質は、リンパ循環や血液循環によっていろいろな臓器を経由して特定の体内臓器に取り込まれ」1)全身被ばく
https://www.remnet.jp/lecture/forum/07_02.html
(*10)「血液を経由して肝臓や骨に沈着する。」プルトニウムの体内での挙動 あとみん 原子力教育支援情報提供サイト
http://www.atomin.go.jp/reference/atomic/plutonium_science/index04.html
(*11)プルトニウム-239「リンパ、血液を介して身体のどの部位にも移行し」放射能(線)による健康障害 特定非営利活動法人 標準医療情報センター理事長 下地恒毅
http://www.ebm.jp/topics/radiation.html
(*12)High Risk Counties Within 100 Miles of Nuclear Reactors
http://www.mindfully.org/Nucs/100-Miles-Nuclear-Reactors1996.htm
(*13) 全国がん罹患モニタリング集計 2006年罹患数・率報告(平成23年3月(PDF:4,516KB)
http://ganjoho.jp/data/professional/statistics/odjrh3000000hwsa-att/mcij2006_report.pdf
「2. 地域別集計表データの利用について」
http://ganjoho.jp/professional/statistics/monita.html
全国がん罹患モニタリング集計 更新日:2011年04月08日 掲載日:2009年11月05日 国立がん研究センターがん対策情報センター
P.50 図1 2006 年全国がん罹患数(推計値)の部位別割合
(*14) (*13)の資料P.220 死亡・罹患数および年齢調整死亡・罹患率 (推計値) ―2006年― 乳房(C50、女性のみ)
(*15)部位別がん粗罹患率の推移1975〜2005年/部位別がん粗死亡率の推移1975〜2005年
がん情報サービス
http://ganjoho.jp/pro/statistics/gdb_trend.html?1%1
(*16)5カ国比較 女性乳がん年齢調整死亡率 がん情報サービス
http://ganjoho.jp/professional/statistics/digest/digest12.html
(*17)女性の健康支援モニタリング調査事業(概 要 版) 岩手県環境保健研究センター 平成22年3月 P.7
http://www.pref.iwate.jp/~hp1353/health/data/zyosei/zyosei-houkokusyo.pdf
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manny

こんにちは!
こちらも覗かせていただきます(^^♪
by manny (2011-06-10 10:41) 

ふじくろ

>>mannyさん
あ、こちらまでお越しいただいたんですね。
ありがとうございます!(^^)
by ふじくろ (2011-06-10 19:56) 

e-s

セシウムは特定の部位には濃縮しませんが、大量の血液をろ過し尿として放出する腎臓、膀胱は結果として、尿として放出される濃縮されたセシウムの影響を強く受けます。
by e-s (2011-09-04 09:32) 

ふじくろ

>>e-sさん
放射性物質と親和性臓器の関係は諸説あるようです。
>腎臓、膀胱は結果として、….
これも一つの説です。

放射性物質の人体への影響は、まだ解明されていないことも多く、諸説存在する段階ですので、ここに断定的なコメントを書くことは差し控えてください。

不適切なコメントの場合、modifyまたは削除されます。
by ふじくろ (2011-09-07 18:13) 

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