マスコミは本当に「隠し撮り」がダメだと思うの? [Animal]
第82回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞で、オスカーを獲得した映画『The Cove』。
7月から日本でも公開されるらしい。
official site : http://www.thecovemovie.com/japanesefiles/the-cove-store-files-final/Cove-home-page-absolute-url.html
[2:18 trailer 英語]
[15分クリップ 日本語字幕]
The Cove - Japanese 15 minute clip from Oceanic Preservation Society on Vimeo.
いろいろな意見がある中、気になることがある。
マスコミはこの映画の撮影手法について批判的だ。
「隠し撮りした映画」と避難している。
ネタバレにならないように気をつけて紹介すると、
和歌山県太地町のある入り江で、
撮影スタッフが「進入禁止」の場所に「隠しカメラ」を仕掛ける。
そしてこの入り江で行われているイルカ漁の実態を告発している。
「美しい海辺の風景を撮りたい」と、この小さな漁村に申し出たらしい。
でも、撮影者たちの真の目的は「イルカの虐殺をカメラに収め世の中に公表する」ことだった。
日本のマスコミはこの「隠し撮り」手法を糾弾している。
だけど、ここに違和感を感じてしまう。
マスコミは本当にこの手法がダメだと思っているの?
TV番組で、不正な業者の実態を暴くために隠しカメラが潜入するシーンを何度も観たことがある。
おとりの記者が契約者の振りをして、手持ちバッグの小さな穴からカメラでその取引の様子を撮影するなど。
こういった番組をどれだけの視聴者が「けしからん」と思うのだろうか?
また海外の戦場や共産圏の国で、到底撮影許可など取れそうもない場所での映像も何回も観たことがある。
海外の貧困に苦しむストリートチルドレンの実態を、お茶の間に居ながら知ることができたりする。
2007年秋、ミャンマーで映像ジャーナリストの長井健司さんが軍の銃弾に倒れた。
wikipediaより抜粋; 長井 健司(ながい けんじ) 2007年9月27日、ミャンマーのヤンゴンで軍事政権に対する僧侶・市民の反政府デモを取材中、軍兵士に至近距離から銃撃され死亡したと報道されている[1][2]。 常々「誰も行かないところに誰かが行かなければ」と語りパレスチナ紛争、イラク戦争、アフガニスタン空爆などを現地取材し戦争の本質を捉えた映像を撮り続けた。 |
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[撃たれてもビデオカメラを離さなかった長井氏(右下)]
送信者 blog:地球のために今何ができるだろう? |
彼もまた、撮ってはいけない状況でカメラを回し続けた。
彼のようなジャーナリストがいなければ、ミャンマーの軍事政権の実態を、
私たちはどうやって知る事ができたのだろう?
これらは場所・状況の違いを超えて、一つの点で共通している。
”誰かが撮影しなければ、誰もその実態を知ることができない。”
だからマスコミは潜入ルポなどを繰り返すし、事実を公表する事に意義を感じているのではないかと思う。
個人的には、政治・紛争が絡んだ危険な取材には敬意を表したい。
そのマスコミが、なぜ映画『The Cove』を「隠し撮り」と糾弾?
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