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水銀濃度が高いイルカ/クジラやマグロは規制されているのかいないのか? [Food]


以下の各画像はクリックで拡大します。
水銀
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我が国でヒトが摂取している水銀のうち、約9割は魚介類からだそうです。
「魚介類から88.1%(7.18μg/日)、それ以外の食品から 11.9%(0.99μg/日)の水銀が摂取されています。」[2]


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魚介類の水銀濃度について調べてみました。 

[暫定規制値はイルカ/クジラに適用されるのか?]

魚介類の暫定規制値は総水銀 0.4ppm及びメチル水 銀 0.3ppmです。

これまで暫定規制値が(魚じゃないから)イルカ/クジラには適用されないと思っていましたが、どうやら違うようです。
とてもおもしろい発見をしました。

確かにある時点までは適用外だったようですが…

意見交換会[1]の問6では、下記の通り適用されないと言ってます。

問 2000年1月に厚生労働省に問い合わせた際にはクジラ肉は魚介類の暫定規制値の適用除外にあたるとの説明であったが、最近、新聞記者からの話では適用と聞いている。いつから適用になったのか。
答 昭和48年の暫定的規制値については、対象が魚介類であることからクジラ類は含まれていません。

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ところがさらによく調べてみると、こんな2つの事実が…


【1】 注意事項としてのアナウンス
「魚介類に含まれる水銀について」厚生労働省 のサイトにある
妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項について[2] によれば、以下の通りとなっていました。
問17 現在の水銀の規制はどのようになっているのですか。
答 昭和48年に、魚介類の水銀の暫定的規制値を総水銀 0.4ppm及びメチル水 銀 0.3ppmと設定しています。ただし、マグロ類、内水面水域の河川産の魚介 類(湖沼産を除く)及び深海性魚介類を除きます。
P.3・魚介類 「魚介類」には、クジラ類(クジラ、イルカ)を含みます。

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【2】 報告書の中での言及
「A.研究目的」[3]より
「食品汚染物としてのPCBや水銀は、昭和47及び48年に厚生省によりそれぞれ暫定的規制値が定められており、遠洋沖合魚介類でPCBが0.5ppm、魚介類の水銀が総水銀0.4ppm、メチル水銀として0.3ppmとなっている。クジラ、イルカ等の鯨類についてもこの暫定規制値が適用されているが」

とあります。
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つまり厚生労働省の暫定的規制値は、平成16年9月17日時点ではクジラ類(クジラ、イルカ)に適用されていなかったが、平成17年11月にはなぜか突然適用されているということですね。
この14ヶ月の間に何があったのでしょうね?


参考までにグラフを貼付けました。
2003年、2010年の魚介類のメチル水銀濃度(ppm) 
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出典
【2010】妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項について 【Q&A】(平成17年11月2日公表、平成22年6月1日改訂) (PDF:616KB) 【2003】鯨由来食品のPCB・水銀の汚染実態調査結果について 厚生労働省食品保健部

[ヨシキリザメ]Near Threatened 準絶滅危惧 Pop. trend: unknown [IUCN RED LIST][イシイルカ]


[コビレゴンドウ]”マゴンドウ”と”タッパナガ(シオゴンドウ)”の総称[ツチクジラ]


[バンドウイルカ][マッコウクジラ]Vulnerable (VU)(要保護)野生が絶滅する高い危険性に直面していると考えられる(IUCN RED LIST)





[イルカの流通]
「4.1 鯨類の摂食実態と流通の現状」[3]によれば、
「鯨類由来製品は、南極海のクロミンククジラが流通の大きな部分を占めており(45.0〜51%)、次いで、イシイルカも全体の8〜20%に相当する量が市場に出荷されている。」

だそうです。

2001年の鯨由来食品は、およそ3,500〜4,100トン程度とありますから、イシイルカの場合280〜820トンも市場に出回っているのですね。

クロミンククジラはヒゲクジラですから出回っても良いですけど、ハクジラ(全てのイルカと歯のあるクジラ)などは出回ってほしくありません。
水銀濃度がとても高いですから。
(イシイルカは0.37ppm [3])
厚労省の主張する「(妊婦の場合)イシイルカは1週間当たり160g程度」[2]など、個人的にはとても容認できません。
なぜなら摂取量の目安の決め方が、少々乱暴と思えるからです。




[(妊婦の場合)水銀摂取量]
そもそも有害化学物質なのに、どうして「ここまでなら体に入れても大丈夫」などという基準値を算出するのか分かりません。
有害化学物質は少なければ少ないほど、健康へのリスクは低くなると思います。

厚労省の算出する水銀摂取量[2]は以下の通りです。
1 まず、水銀の耐容摂取量のうち水銀濃度の高い魚介類に割り当てること ができる水銀摂取量を推定しました。
厚生労働省が実施している食品中の汚染物質の一日摂取量調査の平均値 (平成11年~20年)によると、水銀の摂取量(総水銀換算)は 8.17 μg/ヒト/日であり、このうち魚介類から 7.18μg/ヒト/日、その他の食品から 0.99μg/ヒト/日となっています。魚介類からの摂取量7.18μg/ヒト/日を、妊 婦が摂食の際に注意を必要とするものとそうでないものに分ける必要があ りますが、種々の魚介類を摂食することから、一日摂取量調査における魚 介類からの水銀摂取量の半量を検討対象以外の魚介類からの摂取と仮定す ると、水銀濃度の高い魚介類に割り当てることができる水銀摂取量は78.94 μg/ヒト/週となります。

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イ. この1/2という係数は何を根拠に決まったのでしょうか?
食べる魚介類のうち半分は水銀濃度の高いものを選んだと仮定していますが、この仮定に無理は無いですか?
ふつうなら「どうせ魚を食べるなら、なるべく汚染されていない物を」と考えるように思いますけど...

ロ. 1人あたりの水銀の平均摂取量/週は111μgなのに、この計算式では<耐容量>をもとにしているので<水銀濃度の高い魚介類に割り当てることができる水銀摂取量>が、実際の摂取量を基準にした時よりも多めに設定されてしまいます。
「毒だけれどもここまでなら食べても大丈夫だよ」という考え方は、食品の安全性として妥当なのでしょうか?
なぜそんな目一杯ぎりぎりのところ(耐容量)まで食べることを想定するのでしょう?




[摂食の推奨]
このドキュメント[2]を通して、なぜかしつこいぐらいに魚介類の摂食を勧めています。

P.5「参考1)マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂食で差し支えありませんので、バランス良く摂食してください。」
P.8「魚介類の摂食の減少につながらないよう正確な御理解をお願 いします。」
P.9 問5「本注意事項により、魚介類の摂食の減少につ ながらないよう正確な御理解をお願いします。」
P.11「魚介類をバランス良く摂食されるようお願いします。」
P.11「バランス良く摂食してください。」
P.9 問4「本注意事項により、魚介類の摂食の減少につながらないよう正確な御理解をお願いします。」
P.12「魚介類の摂食の減少につながらないよう正確な御理解をお願いします。」

ご丁寧に全てのページのフッターに、囲み表示で注意書きが付記されています。
「本注意事項については、いわゆる風評被害が生じることのないよう正確な御理解をよろしくお願いします。」

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さらに駄目押しで【別添】として「魚介類の栄養特性」についての記述で、「魚が持つ優れた栄養特性」をアピールしています。
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なんだかどうしても国民に魚を食べさせたいみたいですけど、
これは、
1. 国民の健康を心配しての、国・行政のありがたい介入なのか?
2. 水銀/PCB汚染のことを発表したがために売り上げが落ちることのないよう、関連業界に配慮しているのか?
どちらなんでしょうね。




[エビ、サケ、タラ]
米国の注意事項では摂食量の目安が示されているそうですが、我が国では「水銀含有量が低い」という理由で注意事項の対象にはならないそうです。[2]

我が家ではなじみの深いこれら魚介類についても、調査した結果を公表してほしいと思います。
公表されているのかどうかも知りませんけど。




[結論]
●イルカ/クジラは暫定的規制値の対象になっている。
●マグロは暫定的規制値の対象になっていない。
●結局どちらにしろ暫定的規制値を上回る魚介類が、市場に流通している。
●暫定的規制値を上回る魚介類でも、食べる間隔をあければ大丈夫と厚労省は主張している。
●国・行政は有害化学物質の影響を過小評価し、栄養等のメリットを過大評価しているように感じる。

[疑問]
●なぜわざわざリスクの高い食品を食べることが推奨されるのか?
●有害化学物質を摂取した時のデメリットに比べて、「優れた栄養特性」な魚介類の摂取は本当にメリットが大きいと言えるのか?

[こうなればいいな](商品選びの目安にします)
●店頭での魚介類に有害化学物質の濃度を記載してほしい。例.ツチクジラ メチル水銀濃度0.7ppmなど
●加工食品について、どの魚から作られたのか分かるように記載してほしい。
●加工食品について、原材料の有害化学物質濃度を記載してほしい。


私たちみんなが、少しでも健康でいられますように。(^^)





[1]厚生労働省(食品に関するリスクコミュニケーション(水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項の見直しについての意見交換会)平成16年9月17日(金)13:00〜16:30
於 国際研究交流会館(国立がんセンター内)


[2] 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項について 【Q&A】(平成17年11月2日公表、平成22年6月1日改訂) (PDF:616KB)


[3] 厚生科学特別研究 鯨由来食品の有害化学物質によるヒト健康に及ぼす影響に関する研究 総括研究報告書




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