SSブログ

[nuclear]X線やCTは、そんなに安全ですか? [Human]


よく「放射線量は○μSvで、これは胸のレントゲン1回の半分です。」などといわれますね。
こう聞くとレントゲンより低い値なのだから大丈夫と感じませんでしょうか。
[PDF]解説「日常生活で受ける放射線と人体影響」より
送信者 blog:地球のために今何ができるだろう?

もちろんμSvレベルの放射線量が「ただちに人体に影響しない」ことは理解していますよ。(^^)

このよく比べられるレントゲン検査やCTスキャンについて、資料を集めてみました。

これらを読んでわかるように「検査なのだから、医療用の放射線なのだから100%安全」とは言い切れないのが現状と思います。

【おことわり】
ブログ主ふじくろは医療者ではありません。
これまで放射線の検査や治療を行ってきた(つまりいっぱい被ばくしてきた)がん患者として個人的な見解を述べています。
ここでは「安全・危険」の2つの目盛しかないモノサシ↓ではなく、

「安全〜危険」滑らかに変化するモノサシ↓をあててみてくださいね。


「レントゲン検査やCTが危険」という主張ではないので、お間違いの無いようお願いします。


【意見】
「レントゲン検査やCTでさえも現状での頻回の被ばくは健康へのリスクが懸念されているのだから、これらを引き合いに出しての”原発による放射能の安全”もソレナリでは?」ということです。
 

以下、太赤字青字はブログ主ふじくろによる編集です。

2010/1/26号◆クローズアップ「画像診断による癌リスク」」
NCI Cancer Bulletin2010年1月26日号(Volume 7 / Number 2)

-----------------引用開始----------
低線量画像診断は低リスクだったが、それでも発癌リスクは上昇した。また、検査を受けた時期が若いほどリスクは高くなった。

Archives of Internal Medicine誌の同号で、同じくREB所属のDr. Amy Berrington de González氏らは、NRCによるデータを用い、米国で2007年中に行われたCTスキャンが原因とみられる癌増加率を算出した。

この研究により、将来発生する29,000件の癌が、この年米国で行われたCT検査に関連する可能性があると推測された。また、発癌リスクは男性よりも女性の方が高かった。これらの癌のうち35%は、患者が35〜54才の間に受けたCT検査に、また15%は18才以下の小児期に受けたCT検査に関連していると推測された。

(略)

医学界において提案された、患者ケアの質に悪影響を及ぼさずに、診断による被曝量を減少させる方法

・診断の質が同程度の場合には、他の方法(超音波やMRIなど)を用いて、CT検査の回数を減らす。
・健康な患者への全身スキャンなど、検査による利点がほとんど無い場合のCTの使用を制限する。
・診断が確定した患者で、CTスキャンを繰り返しても治療法がほとんど変わらない場合には、CTによる経過観察を制限する。

(略)

現在行われている疫学研究

画像診断による発癌リスクの疫学的研究では、何十万人もの患者を数十年にわたり追跡しなければならない。そのため、画像診断による発癌リスク評価は、今のところモデリング研究どまりである。
研究者らは現在、この件に関する初めての疫学研究を始めている。
-----------------引用終了----------




☆「FDAが画像診断時における不要な放射線照射を減らすための方針を発表」
FDAニュース 2010年2月9日

-----------------引用開始----------
画像診断時の放射線被曝による発癌リスクの程度についてはいくつかの異論があるものの、不必要な放射線被曝を減じる対策をとることは可能であり、とるべきであるという点では広く同意が得られている。

例えば、腹部のCT検査における放射線量は胸部X線撮影400回分と同等の線量である。
-----------------引用終了----------

ここで被ばくとは全然関係ないですが、患者は自分の画像診断記録をネットで見ることができるそうです。うらやましい!!
-----------------引用開始----------
患者の権利拡大および理解を広めることを目指し、FDAは他の組織と協同して患者の画像診断の記録カードの作成および普及を行っている。このカードは FDAのウェブサイト上で取得可能である。患者は自分の画像診断記録を参照し、特に自分の医療記録にそれが掲載されていない場合に、この画像診断記録を担当医に見せることができる。
-----------------引用終了----------

<2011/7/22追記>
FDAのサイト「Computed Tomography (CT)」に「X線被ばくによって、生涯でがんにかかるリスクが増えます。」(ブログ主訳)とはっきり書かれています。
http://www.fda.gov/Radiation-EmittingProducts/RadiationEmittingProductsandProcedures/MedicalImaging/MedicalX-Rays/ucm115317.htm
-----------------引用開始----------
Risks/Benefits

As in many aspects of medicine, there are risks associated with the use of CT. The main risks associated with CT are:
An increased lifetime risk of cancer due to x-ray radiation exposure.
-----------------引用終了----------





☆「CT検査時における被曝線量のばらつきによる安全上の問題/カリフォルニア大学サンフランシスコ校」
2009年12月14日

-----------------引用開始----------
CT検査に伴う発癌リスクは、CT検査を受ける患者1,000人に1人であると推測するのが慣例です。 われわれの研究では、特定のCT検査を受けた特定集団の患者に限っていえば、発癌リスクは80人に1人という高い割合でした」とSmith- Bindman医師は述べた。
-----------------引用終了----------





☆2010/06/01号◆論説「環境による発癌リスクについてDr. Deborah WinnとDr. Shelia Zahmとの座談会」
NCI Cancer Bulletin2010年6月1日号(Volume 7 / Number 11)

-----------------引用開始----------
「ある患者の癌の原因を明らかにすることはできますか。

Zahm氏: 組織学的ないしは分子遺伝学的マーカーに基づいて、特定の腫瘍が特定の環境曝露によって引き起こされたかどうかを個人レベルで明らかにすることは通常できません。」
-----------------引用終了----------
Zahm氏が述べられているように、がんになった原因はわからないのが普通ですね。
なので、例えば原子力発電所で作業員をしていてがんになったからといって、
それが原発のせいだとは間違っても判断されないと思います。





☆「Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries.」Oxford, UK. Lancet. 2004 Jan 31;363(9406):345-51.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15070562
-----------------引用開始----------
In 13 other developed countries, estimates of the attributable risk ranged from 0.6% to 1.8%, whereas in Japan, which had the highest estimated annual exposure frequency in the world, it was more than 3%.
(ブログ主訳)毎年のX線検査によって継続的に暴露されている日本では、がんのリスクが3%上昇している
-----------------引用終了----------





<2011/7/22追記>
☆「Estimated Radiation Risks Potentially Associated with Full-Body CT Screening」David J. Brenner, PhD, DSc and Carl D. Elliston, MA Radiology
http://radiology.rsna.org/content/232/3/735.short
-----------------引用開始----------
A single full-body CT examination in a 45-year-old adult would result in an estimated lifetime attributable cancer mortality risk of around 0.08%, with the 95% credibility limits being a factor of 3.2 in either direction. A 45-year-old adult who plans to undergo annual full-body CT examinations up to age 75 (30 examinations) would accrue an overall estimated lifetime attributable risk of cancer mortality of about 1.9%, with the 95% credibility limits being a factor of 2 in either direction.
(ブログ主訳)45歳の人が1回のCT検査をした場合、生涯のがん死亡リスクの割合は0.08%増える。また45歳の人が毎年のCT検査を75歳まで30回した場合、生涯のがん死亡リスクの割合は1.9%増える。
-----------------引用終了----------






レントゲン検査やCTだからといって100%安全というわけではないですよね。
被ばく量が増えれば、がんになるリスクも増えると思います。
だからアメリカではがんを発症するリスクを減らすために、不要なレントゲン検査やCTを行わないようにしてなるべく被ばく量が押さえられるようにしていますね。








ここで病院の検査とは関係ありませんが、フライトや原爆による健康への影響の資料があったのでついでに貼付けておきます。
「長期間の飛行経験を有する航空機パイロットにおける染色体転座の頻度の増加」
Increased frequency of chromosome translocations in airline pilots with long-term flying experience.
Occup Environ Med. 2009 Jan;66(1):56-62.

-----------------引用開始----------
長期間の飛行経験を有するパイロットは生物学的に有意な線量の電離放射線の曝露を受けると考えられる。宇宙線曝露と発癌リスクとの間の関係を明らかにするために、広範な放射線曝露レベルでより大きなパイロット集団でのより長期の追跡による疫学的研究が必要である。
-----------------引用終了----------




☆「日本の原爆被爆者における研究から、放射線被爆による一次癌・二次癌の発症リスクは同等であることが示された」フレッドハッチンソンがん研究センター 2010年9月15日
http://www.cancerit.jp/wordpress/2010-10-12/1450.html
-----------------引用開始----------
癌を発症した被爆者は二次癌発症のリスクは高いです。
-----------------引用終了----------

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。